ファッジの嫁入り物語 episode6













しかし、父親の言ったことは間違っていなかった。

親族が全員、教員か公務員だった抹茶家では
酒屋を営んでいるココア家は未知との遭遇だった。
だから、私の伯父が現役の小学校の校長先生だと知ると
本当に喜んでいた。
内心「そんなの関係ねぇ」と思っていたが
わざわざ口にはしなかった。


そして、私の結婚にもう一人強力な後ろ盾がいた。
そう、あのアニキだ。




私が短大でアニキの教え子だったと知るやいなや
すぐ抹茶家から確認の電話が入ったそうだ。
と、アニキのリップサービスのおかげで、
私はバニラクリームの結婚相手として、
抹茶家に認められたようだ。

しかし、そのアニキが自ら…




アニキは知っていた。
バニラクリームが逃げても逃げても
母と叔母から逃げ切れず、いつももがいていることを。
逆にその呪縛から、引き離そうと
アニキは大学受験を指導したり、就職先を紹介したりしたが
やはり2人はクリームの後ろをいつもついて回っていた。
しかし元をただせば、アニキも母親の知り合いの先生に頼まれて
紹介された家庭教師だったわけで
何もかも母親の手のひらの上だったとも言える。


ま、そんなこんなで両家の初顔合わせの日がきた。
場所はちょうど中間地点にある高級料亭のお座敷。
この時は、母親同士熱心に話をしていたが
話のほとんどが、お義母さんの生い立ちと嫁ぎ先の話に
終始していたらしい。(詳しくは、お嬢登場を読んでね。)


と、結婚までの道のりは
ルンルンの恋愛中とはくらべものにならないほど
エネルギーのいることだった。


(つづく)


0 件のコメント :

コメントを投稿